2009年も始まったばかりの1月11日、能登半島の輪島市にある白藤酒造店さんを訪ねました。

 白藤酒造店は、1722年に廻船問屋として創業し、江戸時代の末頃から酒造りを始めた蔵元さんです。石高150石。家族経営の小さな造り手さんです。現在、東京農大の醸造学科を卒業された、30代の9代目「喜一」さんが杜氏を務め、奥さんと、番頭さん、もう一人の蔵人さんと4名でお酒を造られております。
 今回白藤さんを訪ねた理由は、D君と坂本ジュニアで主催している、20〜40歳の日本酒愛好家でつくる「れいの会」という勉強会という名の宴会で、白藤酒造店の「白菊 純米吟醸」を飲んで感動したからです。D君は坂本酒店のお客様で、「坂本酒店は日本酒を一生懸命勉強しなければダメだ。」と、いつも刺激を与えてくださる日本酒愛好家です。



 東海北陸自動車道が全線開通したお陰で、高山から富山県氷見市まで2時間程で行けるようになりました。そこから七尾市まで50分程、さらに50分程で輪島市に到着します。久々野からでも休憩無しなら4時間程でしょうか?電線を地中に埋設する工事が施された、朝市が立つ輪島市の中心部の古い町並みは、すっきりとして空が広く、運よく晴れ間が見えました。
 白藤酒造は観光スポットの町並みから、ほんの少し離れたところにあります。
 お昼休みという事で、すこし静かな13時。しかも本来なら見学者お断りの日曜日に、笑顔で案内をして下さったのは、8代目の奥様。この蔵の純米吟醸のような、前向きで優しく柔らかな方だ。朝5時には動き出す甑(米を蒸す昔ながらの釜)は、一仕事を終えて綺麗にしてありました。造りの時期の酒蔵の、きりっと引き締まる程よい寒さと、ほのかな緊張感のある、この凛とした空気が好きです。
 


柔らかな午後の日差しが入る
整然と整理された蔵の中
一仕事を終えた甑(こしき)
逆光の中で渋く光って見える


 下左の写真はお酒を搾る槽(ふね)という道具。モロミを入れた袋を箱の中にいれて、上から圧力をかけることによって、モロミは酒の粕と清酒に分かれます。左は今まで使っていた物。前の造りの時期に傷んだので、今期から新品をという事で右の槽を購入したら、その納期が遅れて、急遽古いを槽を必死に修理したとの事。槽が2つある事によって、妥協の無いモロミの管理が出来るようになったといいます。2つのタンクが同時に搾りのタイミングになっても大丈夫だと。
 蔵の仕事は手を抜くことが出来ない同じ作業の繰り返し。しかも肉体労働です。そんな中でも蔵の中は綺麗に片付けられ、整然としていました。


今年から導入した新しい槽(ふね:右)と、
復活した古くからある槽(左)の2台体制
震災後、再建された新しい蔵
柿渋が塗られている


 今からおよそ2年前の平成19年3月25日の朝、突然震度6の大地震が能登半島を襲いました。仕込みの最後の時期。壁にヒビが入り土台もずれ、大規模な補修をしないと存続が出来ない状況に追い込まれたと伺いました。当時、町並みの保存運動をしていた同地区では、再建をあきらめた古い建物も沢山あったそうです。


震災によって使われなくなった蔵の2階
正面には松尾様が奉ってあった棚が残る
麹を持って上がったであろう階段
本当に急


   「蔵をたたむ事も選択肢の一つ。そのぐらいの危機だ。」

と、宮城県沖地震を経験している「浦霞」の蔵人だった9代目の奥さんが言ったそうだ。なんと厳しい状況を乗り越えられてきたのだろう。自分に置き換えて考えたとき、本当に心が折れそうな苦しみだと思った。なんて強い意志で再建を志したのだろうか。
 上左の写真は被災した昔からの蔵で、正面の神棚には「松尾様」が祭られていたそうです。今は使われておらず、下の階には貯蔵タンクが並んでいました。上上右の写真は新しく再建した建物。成長が遅くしっかりと頑丈な木の集成材で組まれ、柿渋が塗られており、酒造りの工程がスムーズに進むように、設計士さんと考えに考えを重ねて造られて、合理的な配置になっていました。どうせ再建するなら、次の地震にも負けないくらいという事で、基礎にも沢山の杭を打つなど、未来に向け、しっかりとした建て直しが行われたそうです。

 お昼をとったばかりだという蔵の食堂にお邪魔させて頂き、お酒の試飲をさせて頂きました。H19BYのお酒はほとんど完売状態で、残っている数少ない純米吟醸と純米大吟醸、出来立てのH20BYのにごり酒と、しぼりたて生原酒の4アイテムを利きました。

@「純米吟醸」は、私たちも惚れている白菊の看板商品。30年近くスタイルを変えていない先代8代目洋一氏の味わい。うっすら山吹色。重厚だがベルベットのような滑らかさ。優しい上品な甘さも感じる。
A「純米大吟醸」は、若き9代目の夫婦の味わい。香りは抑え目、山吹色で、トーンの高い、透明感のある酒質。やや渋味が残り、熟成の余地を感じる大作。優しい旨味がぐいっと表に出てきており美味。
B「純米活性にごり酒」はキリッとイキイキした酸、泡があり、懐かしいラムネに似た風味、モロミそのものの魅力的な甘味・旨味があるが、9代目の作風をしっかり感じる辛さもある。
C「しぼりたて生原酒 本醸造無濾過」は、爽やかな香りが自然に立つ、Aの雰囲気も感じるイキイキとした辛口。食中酒として重宝しそう。素直に美味しいと思えるのは、わずかに感じる白菊らしい優しい甘味のせいか?原酒の無理な強さは一切なく、価格を聞いて正直驚いた。


左の3本は参考。右の4本を試飲。
右から@純米吟醸、A純米大吟醸・・・・
ご案内をして下さった8代目の奥様と
10代目予定の可愛いお孫さん


 ありがたいことに取引させて頂ける事になりました。現在、以下の商品を取り扱いしております。

奥能登の白菊 純米吟醸
720ml \1,750-
日本酒度:-3.0 山田錦・五百万石:精米歩合55%
アルコール分:16度以上17度未満

 H19BYの火入れをした純米吟醸です。ワインで言うとドイツワインを思い出します。優しい上品な甘さのある、癒し系の食中酒です。
奥能登の白菊 純米吟醸 無濾過生原酒
720ml \1,750-
日本酒度:-3.0 山田錦・五百万石:精米歩合55%
アルコール分:16度以上17度未満

 H20BYの出来たてフレッシュです。まだ飲んでいないです。フレッシュネスが、あの上品な甘さと絡んで、どんな姿になっているのか楽しみです。
奥能登の白菊 純米 無濾過生原酒
720ml \1,450-
山田錦・五百万石:精米歩合55%
アルコール分:17度以上18度未満

 H20BYの出来立てフレッシュです。9代目の若夫婦が新しく創造する、キレと旨味のある辛口です。ジュニアとシニアは、これを飲んで大満足しています。





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